優生保護について考える 

2024.8.1

優生保護について考える 

今回は近頃よく目にする(旧)優生保護法について、根底にある問題が何なのかを掘り下げていきます。


まず先に、
ここではその善悪を論じたいのではなく、日本国内に限らず世界中で起こっている『人類の課題』であることをお伝えしておきたい。


そして何か結論を出しているわけでもないので、
学生の時にあった『道徳の授業』だと思って読んで頂ければ幸いです(笑)


初めに【優生】の定義を明確にします。


【優生】:
良質の遺伝形質を保つようにすること。

(英語:Eugenic)


さらに、
積極的優生と消極的優生があるので違いを書いておきます。


◆積極的優生:優良な遺伝質 を持つ者を増やしていく方法。


◆消極的優生:悪性な遺伝病や、悪質な犯罪などに”断種手術”を行って国民の素質を改善する方法。




今、話題に上がっている【優生保護法】は後者の『消極的優生』ということになります。


その逆は『積極的優生』となり、あたかも「優良な遺伝質 を持つ者を増やしていく」プラス要素のような感覚を覚えますが、優良な遺伝質以外を否定してしまうことに違いはないでしょう。


どちらにしても、
【優生】という言葉の中にはすでに”問題”が含まれているようです。




【優生学】について

あの「進化論」ダーウィンの従兄弟フランシス・ゴルトン(英1822-1911)が主導した学問、思想・主義・哲学・運動、疑似科学など。

【ユージェニックス “eugenics”】ともいう。


少なくとも100年以上前から世界で研究されている学問であり、白人至上主義や人種差別といった強い否定概念と深く関わりがあるようです。


Googleで検索して頂ければ、世界各国で様々な『断種手術』が行われたことがわかります。


ナチスドイツの『T4作戦』が有名で、アルコール依存症も断種手術の対象となりました。


(これら問題は男尊女卑ではないことにご留意ください。)



どうやら思っていたよりも闇が深い。
日本だけでなく世界の闇と言って良いでしょう。








さて、ここでは日本の優生保護法についてまとめておきます。


(ご参考程度に)

 

■優生保護法(1948年〜1996年)

※『1940年の国民優生法』を踏襲したもの。



●優生保護法の目的

・優生思想、優生政策上の見地から不良な子孫の出生を防止すること
・母体保護


▶︎強制不妊手術、人工妊娠中絶の合法化、受胎調節、優生結婚相談などを定めたもの。



当時の優生学・遺伝学の知識の中で遺伝性とされた精神障害・知的障害・神経疾患・身体障害を有する人を、優生手術(強制不妊手術)の対象とし、48年間存続した。


<優生手術(断種手術)>

生殖腺を除去することなしに、生殖を不能にする手術のこと。
精管や卵管の結紮 (けっさつ) などの方法を用いた。

 

■※1940年の国民優生法(1940年〜1948年)


目的:
優生政策上の見地から、健康な素質をもつ国民を増やすと共に遺伝的疾患を減らすこと。


そのために、
「遺伝性疾患の素質を持つ者」:不妊手術を規定
「健全な素質を持つ者」 :人工妊娠中絶を制限



さて。

最後になりましたが、

なぜ世界で【優生】が問題になり得るのかを考えます。

 

【優生】の定義・・・良質の遺伝形質を保つようにすること、でしたね。


すなわち、”ナショナリズム(民族主義)”に他なりません。


【ナショナリズム(英:nationalism)】
▶︎それぞれの人種・民族が集団としての意識を強めて「独立・統一・発展etc.」を目的とする思想や運動。

 

今、ちょうど2024年パリオリンピックが開催されていますが、まさにその優劣を競い合っていると言って良いでしょう?

個人の努力、国の体制だけではなく、根底には『遺伝子(DNA)』が深く関わっていると考えざるを得ないでしょう??

おっと。
ここでは人種の区別するような危ない話をしたいわけではないのです(笑)



★議論したいのは、

「なぜ人は優劣をハッキリさせたいのか?」という点なのです。

言い換えれば、優生学を探究する理由です。



例えば)

食糧危機、経済危機、ウィルス、震災などが発生した時に、


「なぜ生存能力が低い”劣性遺伝子”に分配しなければならないのか?」

「民族が生き残る為には”優生遺伝子”に多く分配するべきである。」


という考え方が諸悪の根源であり、その万が一のために、「前もって優劣を評価しておきたい」というある種の危機管理(本能)なのではないか??

 

つまり、


「資源の優先権」あるいは「再分配をめぐる評価」を遺伝子の優劣によって事前に確保しておきたい、という事ではないでしょうか??


それはもしかしたら、
自分の子供や子孫を守りたいという保護本能なのかもしれません。


こういった"防衛本能"こそが【優生】の根底にある問題なのではないか??


と、思うのです。



はい。


優生保護法のような悪法が改善されたところで、結局、何が悪かったのかは明確になっていません。


日本の法律が悪かったなんていうスケールではなく、人類全体にその本能が過剰に働いているという点が問題。


ネットを探してもスッキリする答えが出てこなかったので考えてみました。


『道徳の授業』みたいにモヤっとしたらごめんなさい。


答えを知ってる方がいたらメールフォームで教えてください(笑)


宜しくお願い申し上げます。